氷室冴子著作年表3

☆氷室冴子著作年表☆
アンソロジー・解説・インタビュー・対談・エッセイ編


1984年

「毒(ポイズン)」
赤川次郎
集英社文庫
1984年7月25日発行
定価360円








★わずか一滴で致死量に達し、しかも検出不可能という完全犯罪を約束する毒の小ビン。愛人をうとましく思う週刊誌記者から刑事、女性タレント、首相暗殺を企てる過激派へと“毒”は人々の手を転々とする。人々の心の深奥に潜む殺意を横糸に、軽妙な恋のかけひきを縦糸にからませたオムニバス長篇ミステリー。
解説を氷室さんが担当。
各章の感想と、古い海外ミステリーのファンである氷室さんが、戦後のミステリーがリアリズム一辺倒の社会派に偏ってしまったことを嘆き、ホームズやマープルおばさんや、ネロ・ウルフやバーザ&ラムなどの例をあげて、昔から本格ものには、ちょっと変なキャラクターはつきものだったし、ユーモアは本格ミステリーの薬味というか伝統のようなものだ、と赤川ユーモアミステリーを評価する内容で、氷室さんの本に関する文章の上手さと知識の深さに、いつもながら感嘆してしまう。

1985年

「まんが情報誌 ぱふ1985年1月号」
雑草社
1985年1月1日発行
定価480円
A5版








★雑誌「ぱふ」この号の特集は渡辺多恵子。
氷室さんは
「多恵子さんが持っているテーマは、ある程度不変な部分があるんですね。」
というインタビューで登場。
「なぎさボーイ」の表紙イラストを渡辺さんが担当することになったきっかけ。当時連載されていた作品「ファミリー!」の魅力などを語っている2ページのインタビューです。


1986年

「笑っていいとも!殺人事件〜名探偵タモリ誕生す」
田中雅美
サンケイ出版(サンケイノベルズ)
1986年4月10日発行
定価660円
イラスト:水野良太郎






★フジテレビ系全国ネット放送「笑っていいとも!」の、まさに本番中―司会者・タモリの隣で、人気絶頂のアイドル歌手・すずかちゃんが”友達の輪ッ”と両手を頭上でかかげたとたん、バーンととどろく大轟音!すずかちゃんの首が吹っ飛んだ!ライバルの陰謀か恋愛関係のもつれか?とにかく残忍きわまる殺人事件に怒り心頭に発したタモリが立ち上がる。ガンバレ、名探偵・タモリ!田中雅美の書下ろしユーモア・ミステリー。
巻末に
<解説にかえて>対談・ハードボイルドしてるタモリさんって素敵!
氷室冴子vs.田中雅美

を収録。コバルトで同時期に活躍した氷室さんと田中さん。対談で「まあちゃん」「冴ちゃん」と呼び合う二人の仲良しぶりが微笑ましい。

「歌舞伎ワンダーランド 江戸の闇へのいざない」
新書館
1986年11月5日発行
定価1200円
B5ソフトカバー







★新書館のオペラ、合唱団、歌舞伎などなど舞台公演に関する情報を集めた”最新ステージ・エンターテイメント雑誌”「RISING」の4号。歌舞伎の入門的な読み物や、役者さんの写真、インタヴュー、対談などで構成されている。氷室さんは、数人の作家、漫画家さんがアンケートに答える「歌舞伎についての10の質問」のコーナーに登場。
一、歌舞伎を初めて見たきっかけは何ですか?
二、いちばん興味をひかれた演目は何ですか?
三、歌舞伎を見てびっくりしたことは何ですか?
四、歌舞伎のどこが魅力ですか?
五、年に何回くらいご覧になりますか?
六、お好きな役者ベスト3は?
七、「あれが見たい!」と思う演目と理想の配役は?
八、歌舞伎のビデオ化がされるとしたら、何を希望しますか?
九、こんな話や、事件、史実から歌舞伎になる!と思われるものを教えてください。
十、歌舞伎は大衆芸能だと思いますか?
という質問に答えています。
九の質問にたいして『古事記』と答えているのが、氷室さんらしいなあ、と思った。


1987年

「片想い」
中島みゆき
新潮文庫
1987年7月25日発行
定価480円
★中島みゆきの対談集。所ジョージ、根津甚八、勝新太郎、吉行淳之介、高橋三千綱、村上龍、松任谷由実、桃井かおり、河島英五、岩城宏之、糸井重里、春風亭小朝、村松友視との対談を収録。この文庫の解説を氷室冴子さんが担当している。
「他人との距離がうまくとれずに、勝手に傷ついてしまって、それが自分のせいだということをよくよく承知しているような、だからますます出口無しになってしまうようなところがかんじられた。」(解説より)
それってちょっと氷室さんと似てる?同じ北海道出身ということもあり、なんとなく、みゆきさんと冴子さんって共通点が多いかもと思った。話し方とかはやっぱり似てる気がする。

「映画につれてって 小林信彦対談集」
1987年10月20日発行
キネマ旬報社
定価1200円
A5版ソフトカバー








★小林信彦と清水俊二、長部日出雄、長部日出雄、山田宏一、和田誠、西脇英夫、色川武大、森卓也、大瀧詠一、氷室冴子との対談集。 「キネマ旬報」1987年5月下旬号掲載の氷室さんとの対談は
<氷室冴子 オーソドックスなハリウッド映画 「ペギー・スーの結婚」>
として巻末に収録されている。
氷室さんにとって、「映画はぜいたく品で、めったに見ない。大学時代に見た映画はたった2本。(『冴子の東京物語』収録エッセイ「説教ばあさんになる日」によると、この二本とは「寅さん」と山口百恵主演の「ふりむけば愛」らしい。笑)」ということを話されていて、誰がお相手でも、変に気取ったりしない素直な対談での会話が印象的だ。
「ペギー・スーの結婚」と「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の比較論と、氷室さん原作の映画「恋する女たち」(86年大森一樹監督)についても語られている。


1988年

「高校生のための小説案内」
梅田卓夫・清水良典・服部左右一・松川由博 編
筑摩書房
1988年4月15日発行
定価740円
A5ソフトカバー







★いま小説ルネサンス!
明治の文豪から現代作家まで40人の作品でつづる想像力開放のアンソロジー。稲垣足穂、宮沢賢治、三島由紀夫、中沢けい、石川淳、谷崎潤一郎、干刈あがた等を収録。
<目次>
1 はじまりの物語/2 事実に立つ/3 記述の魔力/4 男と女の風景 /5 日常のむこう側/6 壁の時代に生きる/7 異世界通信/8 家族の肖像/9 再生する時間

えーと、高校生の活字離れを憂う?4人の先生による小説アンソロジー集。当時、愛知県立小牧工業高校の国語教師で、手作りの「国語表現」の授業を実践されていた方々が、今までの教科書に載ってたような作品じゃなくて、本当におもしろいと思って読んでもらえるようなものを頑張って集めたよ、って感じの本。スタンダードな名作もあるけど、かなり冒険な感じの作品もあって、うんうん、こういう先生方がいらっしゃると勉強もちっとは楽しくなるかもね、なセレクト。店主としては小林恭二の「電話男」レムの「ソラリスの陽のもとに」エンデの「モモ」マンディアルグなんかも入ってるのが「やるな」と思った(笑)でも、何より素晴らしいのは、もちろん、当時まだ完結してなかった氷室さんの「なんて素敵にジャパネスク」をいち早く取り入れていることよね!アンソロジーだから、抄録だけど、「初めての夜は恋歌で囁いて の巻」の冒頭、瑠璃姫の「うっふっふっふっ。」から「あたしも、いよいよ人妻だあ!」までの独白、という美味しい部分がしっかり選んであって、えらい!

「臨時増刊『世界』ブックガイド:歴史と社会を読む」
岩波書店
1988年6月1日発行
定価680円
B5版







★雑誌「世界」の臨時増刊号。「歴史と社会を読む」をテーマに「50人がすすめる(独特のセンス&アンテナ)」と「24テーマで読む」を2本の柱にして、本を紹介するブックガイド。
氷室さんは
「フランス革命と明治の香り」という一文を寄せている。
帝劇でミュージカル『レ・ミゼラブル』にいたく感動したものの、受験科目が日本史だった氷室さんは、どんな時代の話なのかよくわからない。で、鹿島茂の「レ・ミゼラブル百六景」(文藝春秋)を読んで、ユゴーや19世紀フランスの歴史や社会にふしぎな親しみを感じ、原作の全訳や黒岩涙香翻案の「噫無情」を読み返したという。
古い雑誌の増刊だから、入手は難しいかも。あたしも図書館で借りました。
画像見にくいけど、この本(雑誌)の表紙は「風の谷のナウシカ」イメージボードから風の谷・全景のイラスト。探すときの、目印になるかな。おすすめ本のコーナーに宮崎駿さんも書いてます。

「ポーの一族volume1」
萩尾望都
小学館叢書
1988年7月1日発行
定価1200円
B6ハードカバー






★青い霧に閉ざされたバラ咲く村にバンパネラの一族が住んでいる。血とバラのエッセンス、そして愛する人間をひそかに仲間に加えながら、彼らは永遠の時を生きるのだ。その一族にエドガーとメリーベルという兄妹がいた。19世紀のある日、2人はアランという名の少年に出会う…。時を超えて語り継がれるバンパネラたちの美しき伝説。少女まんが史上に燦然と輝く歴史的超名作。
<目次>
すきとおった銀の髪
ポーの村
グレンスミスの日記
ポーの一族
メリーベルと銀のばら
解説:氷室冴子
「ポーの一族」は小学館から4つの版で出ているけど、今は入手が難しい小学館叢書(全3巻)の中に氷室さんの文章があるとの噂が。普通、解説って最終巻につくことが多いので、3巻を取り寄せたら、載ってなくてあせった(笑)1巻でした(汗)
氷室さんが好きで、萩尾さんが好きなら(あ、あたし?)一読の価値ありの名文だ。
「『ポーの一族』の物語は、自由自在に<過去>と<現在>をゆききする。けれど自在なのは、永遠を生きるエドガーたちなのではない。かれたもまた、空間に繋ぎとめられている。(略)時空を自在に駆けぬけるのは作者のペンであり、自由なのは、そのペンで描きだされた世界を旅する読者の想像力だろう。」
うむー、深い・・・。

「小林信彦の仕事」
弓立社
1988年7月15日発行
定価1800円
B6ハードカバー
イラスト:吉田秋生







★<第挟小林信彦>への完全研究読本、と銘うったバラエティブック。
評論や書評、解説や未発表小説、インタヴューなどをまとめたもの。
その中に、雑誌「東京人」第5号(1987年1月)に掲載の氷室さんとの対談が
「小説ことばは耳感覚で 氷室冴子/小林信彦」
として収録されている。
若い女の子の話し言葉の変化、小説の中の話し言葉、方言、話し言葉と書き言葉のギャップなど、小説の中の台詞や文体についての対話がユーモラスに展開して楽しい対談だ。


1989年

「その名はサラブレッド」
井崎脩五郎・編
福武書店
1989年8月15日発行
定価1500円
B6ハードカバー







★社台ダイナースサラブレッドクラブ発行の雑誌「サラブレッド」掲載の馬にまつわるエッセイを井崎脩五郎が編んだ4章からなるエッセイ集。
氷室さんは「供ゞ遒韻襦廚涼罎「馬、北方にあり」(1987年5月号掲載)で、学生時代、通っていた藤女子大の近くに札幌の競馬場があって、そこでのアルバイトは人気だったこと、なかなかそれにはありつけなかったけれど、地元、岩見沢のばんえい競馬では夏休みに賞金計算係のバイトをしていたこと、実家の隣の個人牧場の草競馬に参加したこと、など馬についての思い出を綴っている。「競馬」というより、「馬」そして「馬のいる風景」「北海道」への愛着が感じられる優しくノスタルジックなエッセイだ。

「なれるものなら、なってみな
 就職絶望講座」

ピースボート99編
第三書館
1989年9月30日発行
定価1200円+税
B6ソフトカバー






★私はこれになりたい
キミの勝手な夢をさわやかに破壊してもらおう!!
各界第一人者15人 1990年度向け就職絶望講座!!
幻想を抱くのは悪くないが、安易に考えすぎる若者へ仕事の現場の厳しさをさらしつつ、「絶望して、絶望して、絶望して、それでもまだ、その仕事をしてみたいあなた。なれるものなら、なってみな!」という、ちょっと逆説的なエール。
学者、コピーライター、TVキャスター、ミュージシャン、女優、フォトジャーナリスト、マンガ家、ジャーナリスト、弁護士、映画監督、政治家、雑誌編集者、言説者など15人が「仕事」を語る。
氷室さんは、
「9。作家
三晩徹夜で締切りに合わせたら6キロ減の仕事
氷室冴子」

を担当。
■とりあえず応募が一番■「自分以外のヒト」が読むものを書く■売れるか売れないか・・・■小説家は個人事業主
など16ページ分。


1991年

「対談・偽悪者のフェミニズム」
小倉千加子
学陽書房
1991年2月2日発行
定価1500円
B6ハードカバー

★89〜90年にかけて行われた対談をまとめたもの。
小倉千加子がホスト役で、ゲストは中野翠・芹川藍・ミヤコ蝶々・氷室冴子・北村道子・黒澤亜里子。
フェミニズムの境界線を書き替えるオール語り下し対談。
氷室さんとの対談は「少女と母とジャパネスク」(氷室冴子)というタイトル。1990年2月9日東京で行われた対談が、約45ページ分にわたって収録されている。
知らず知らずのフェミニスト感覚/東京は古い/結婚をめぐる母娘戦争/フェミニストは嫌い?/全共闘批判/母性主義の危機/年の離れた女房/閉ざされた道
アグネス論争、東京、結婚、母の抑圧、老後、個で語ることについて、大塚英志、ノルウェイの森のおにぎり(笑)、役割の流動化などについて語られています。あたしが、氷室さんを好きなところは、非常に頭脳明晰でご自身の思想、思考、美意識、趣味をしっかり持ちながら、それを声高に主張しない、人に押し付けない、意見はきちんと言うけれど、必ずしも相手に同意を強要しない、他人の言葉に好奇心と敬意を持ちつつ、しっかり聴いて、むやみやたらと否定しない。しかもユーモアがある、ということ。素敵な人だ。

「風立ちぬ」
堀辰雄
集英社文庫
1991年9月発行
定価450円







★堀辰雄の代表作。肺結核を患い病没した自身の婚約者との療養所生活を基に書かれた作品「風立ちぬ」の他、「窓」「麦藁帽子」「曠野」を収録。解説・池内輝雄
氷室さんは巻末の鑑賞を担当。初めてこの作品を読んだ中学生のときのことを「生きようとする祈り」というエッセイに書かれている。


1993年

「日本語はすてき」
俵万智
河出書房新社
1993年5月25日発行
定価1500円
B6ハードカバー







★心ときめく日本語ワンダーランドを俵万智と9人の文学者が案内する。
日本語と文学についての対談集。
<目次>
私の好きな歌人(田辺聖子)
恋歌と恋愛小説(三木卓)
『伊勢物語』の魅力(中村真一郎)
おたのしみの古典文学(氷室冴子)
恋に恋する年頃の恋(北杜夫)
与謝野晶子、ときめきの生涯(渡辺淳一)
ぜいたくに作りたい、俳句と短歌(飯田龍太)
俳句は短歌を嫉妬するか(小林恭二)
日本語は素敵だ(井上ひさし)
あとがき
氷室さんとの対談は20ページ分。
「遊びながら古典の世界へ/年齢に応じたつきあい方/歌合せは文化人の登竜門」という4つのくくりで、「源氏物語」「伊勢物語」「万葉集」「無名草紙」など様々な古典について語っている。その知識の深さとユーモアあふれる語り口には感嘆。「天徳内裏歌合」の話で、歌合せを「朝まで生テレビ」に例えていたのが結構笑える。

「十人十色 源氏はおもしろい/寂聴対談」
瀬戸内寂聴
小学館
1993年12月10日発行
定価1300円
B6ハードカバー






★瀬戸内寂聴が丸谷才一、俵万智、清水良子、大庭みな子、橋本治、三島由紀夫ら12人の作家や研究者と「源氏について」語った対談集。
一番新しいのが1992年10月の「青春と読書」の氷室冴子との対談。
「氷室冴子の巻―優柔不断な光源氏
●哀れな女たちに復権を●耳から入る源氏物語の魅力●女の幸福 女の不幸●光り輝く女人たち」
(16P分)
ペンネーム(「氷室」)は堀辰雄の小説(の中の文章)から取ったこと、自分で源氏物語を書き直してみたい、と思っていたことなどが語られている。源氏物語に関しては、1995年刊の『ホンの幸せ』にも収録の、瀬戸内さんの『女人源氏物語第一巻』解説でも言及されているが、この対談の時には、源氏に登場する女人の中では、朝顔の姫君、空蝉、朧月夜、六条御息所が好きと発言。


1994年

「日出処の天子(2)」
山岸凉子
白泉社文庫
1994年3月1日発行
定価580円








★聖徳太子の生涯を描いた歴史漫画の名作。白泉社文庫版の2巻の巻末に収録されている
山岸凉子ロング・インタビュー「歴史はホームドラマの積み重ねです」
は、実は氷室さんとの対談。山岸さんとは旧知の仲らしい氷室さんが解説を頼まれた際に、「解説なんて荷が重過ぎるので、インタビュアーみたいにして対談させてください」ということでこのかたちになったとか。17ページにわたって創作秘話が語られている。綿密に下調べをするタイプの氷室さんと、とにかく書き始めてみるタイプの山岸さんの対比がおもしろい。他の方との対談でも感じるのだけど、氷室さんは話し上手である以上に、ものすごく聞き上手だ。作品に対する理解が深いゆえに的確な質問がなされ、通り一遍ではない答えが導かれる。対談を読んでいると「それを指摘したのは氷室さんが初めて」「えー、どうしてわかったんですか?」というようなやりとりが何度も見受けられる。読者としての読解力と創作者としての鋭い指摘が、他の作家さん漫画家さんとの会話の中で、光を放つ。氷室さんのそういうところも大好きだ。


「私の文章術」
安原顕・編
メタローグ(リテレール・ブックス9)
1994年9月1日発行
定価1456円








★人の心を打つ文章とはどういうものか。辻邦夫、伊藤比呂美、高山宏、藤本義一、池田満寿夫など日本を代表する作家・評論家47氏が、自分の体験を踏まえつつ明かす「体験的文章術」。 氷室さんのエッセイ
「私にとっての名文、それは恋文」が収録されている。


1996年

「円地文子の源氏物語 巻一」
円地文子
集英社文庫
1996年1月25日発行
定価700円








★現代の女流作家たちが、古典の現代語訳に挑んだ集英社の<わたしの古典>(全22巻)の文庫化が始まったのが、この年。最初に刊行されたのが、シリーズ全体の監修も務められた円地さんの「源氏物語」の1巻。単行本から文庫化にあたって、他の作家さんによる「鑑賞」という解説のようなエッセイのような文章がつけられていて、この巻の鑑賞を氷室さんが担当。(7ページ)「帚木」「若紫」「葵」などの印象的な場面について書かれている。


1997年

「PALM BOOK【パーム・ブック】」
伸たまき
新書館
1997年1月10日発行
定価780円
B6ソフトカバー






★いまは獣木野生と改名された伸たまきの人気コミックシリーズ「パーム」(まだ続刊中で31巻まで出ている)の最初で最後?唯一のお楽しみ本。
書き下ろし小説「あるはずのない海」や対談、エッセイ、エッセイコミック、インタビューなどで構成されたバラエティブック。
1988年収録で未発表だった氷室さんと伸さんの対談が収録されている。渡辺多恵子さん→藤田和子さん→氷室さんと仲間内で「パーム」がブームになり、氷室さんが編集部宛にファンレターを出したのがきっかけで対談が実現。「パーム」自体を読んでいない人には少しわかりにくい部分もあるけど、他の人の作品に対する、氷室さんの解釈、分析の鋭さにはいつもながら、びっくりしてしまう。


1998年

「群ようこ対談集 解体新書(たあへるあなとみあ)」
新潮文庫
1998年5月1日発行
定価438円+税








★解体新書の名に恥じず、アノはなしもコノひみつも全部見せます、バラします。山田詠美・椎名誠ら十名を相手に人生の極意を語る、ファン必携の、群ようこ初の爆笑対談集。杉田玄白先生、ごめんなさい。
<目次>
NO1 恋愛について  GUEST 鷺沢萠
NO2 老いについて  GUEST 関川夏生
NO3 お金について  GUEST 松山巌
NO4 男について  GUEST 山田詠美
NO5 恐怖について  GUEST 原田宗典
NO6 創作について  GUEST 椎名誠
NO7 からだについて GUEST もたいまさこ
NO8 趣味について  GUEST 氷室冴子
NO9 子供について  GUEST 泉麻人
NO10 仕事について  GUEST 都はるみ
あとがき
1995年5月新潮社刊の同名単行本の文庫化。ともに版元品切れだけど、文庫の方が入手しやすいかと思うので、こちらを紹介しておきます。
群さんが各人との対談の後につける<解体後記>で「氷室さんとは、働いている独身の女性が、年を取っていくにつれて巻き込まれる、いろいろの問題を話すと、異様に盛り上がってしまいます。」と書いているように、ものすごく楽しげな対談。
その日暮らしの楽しみ/パチンコの恍惚/アウトドアに目覚めた!/一路真輝ちゃん、命/やり手ババァか、雀荘のおかみか/京都系に気をつけろ/四十代の結婚は
様々な趣味と生活について語られている。

「少女物語」
朝日新聞社
1998年5月1日発行
定価1400円+税
B6ソフトカバー








★やわらかな夢、あやうい恋、なつかしい家族、ささやかな企み…。この本に棲んでいるのはあの時のわたし。人気作家11人が、現代の少女像を巧みに描き出すアンソロジー。
1996年5月から1997年3月まで、朝日新聞金曜夕刊に連載されたもの。一人の作家さんが3〜5話の読み切りや連作短編を発表。
収録されているのは、阿久悠・新井満・稲葉真弓・唐十郎・北村薫・小池真理子・小林信彦・高木のぶ子・高橋克彦・堀田あけみ。そして氷室冴子。
氷室さんの作品は「パパは25歳」「あひるの王様」「さよならのご挨拶」の3話からなる『あひるの王様』という連作で、小学校5年生(11歳)のサツキの日常を描いた、繊細で、でも前向きな素敵な作品だ。

「ホラーウェイヴ01 菊地秀行&大怪獣スペシャル!」
東雅夫(幻想文学企画室)編
ぶんか社
1998年7月20日発行
定価1200円+税
B6ソフトカバー






★日本初のホラー小説専門誌「ホラーウェイヴ」の創刊号。
今回、氷室さんの文章が読める本を片っ端から、検索したり調べたりしていて、これが引っかかってきたのが一番の驚きだった(笑)「ホラーは苦手」ということを確かご本人も公言されていたし、氷室さんと「ホラー」って、どう考えても似合わないような気がしたから。
なぜなぜ「ホラーウェイヴ」???
あ。菊地さんかあ!
この本は、日本ホラーの先駆者たちの軌跡をたどる作家特集「HORROR★MASTERS」
第一線で活躍する作家たちが様々なテーマに腕をふるう短編競作特集「HORROR★DIMENSION」
話題の本や旬の作家そしてあらゆるホラーメディアの最新情報を届ける「HORROR★STATION」
が3本の柱になって構成されているのだが、この創刊号ではHORROR★MASTERSとして菊地秀行さん登場している。巻頭グラビア、書き下ろし小説、作品ガイド、インタビュー、対談などと共に、親交のある作家さんたちが彼の人となりの片鱗を語るエッセイを寄せていて、そのひとつが「電話魔の真実」 (氷室冴子)という約3ページの文章。
氷室さんと菊池さんは、電話友達といえるおつきあいだったらしく、このエッセイは1993年刊行の『氷室冴子読本』の「マイディア冴子さん」というコーナーに菊地さんが書いた「ミドナイト・ラブ・コール」というエッセイとまるで合わせ鏡のような内容になっている。お互いへの友情と作家としての敬意のあふれた手紙とその返事。
先日のご葬儀では、菊地秀行さんは氷室さんの生前の希望で、葬儀委員長を務められた。


1999年

「仰天・夢枕獏 特別号 夢枕獏全仕事」
夢枕獏事務所・編
波書房
1999年1月20日発行
定価1600円+税
A5ソフトカバー







★「仰天・夢枕獏」(単行本の初刷に挟み込みの小冊子)巻頭エッセイ
完全リスト(著作と漫画化、映像化作品)
写真入り完全年譜
インタビュー
対談(VS北上次郎・VS野田知佑・VS坂東玉三郎)
鼎談(須田義信・山田和夫)
夢枕獏の世界(鹿野司・青木隆二・鈴木義延・小松和彦・松原隆一郎・米田光良・「イッてる仕事人」岡野玲子など、夢枕獏の全仕事に迫るバラエティブック。
友人たちからの寄稿を掲載した「義理原400字固め」がおもしろい。
友情執筆の豪華なメンバーは・・・北方謙三・野田知佑・高橋三千綱・椎名誠・俵万智・梶尾真治・菊地秀行・北上次郎・船戸与一高千穂遙・いしかわじゅん・逢坂剛・中沢新一・萩尾望都・岡野玲子・難波弘之・板垣恵介・佐藤秀明・松原隆一郎・天野喜孝・佐藤嗣麻子・小谷真理・林政明・谷村ひとし・巽孝之・寺田克也須田義信・谷甲州・長瀬唯・夏目房之介。
そして氷室さん。
義理原エッセイ4「ウツクシイ男」氷室冴子
を収録。

「近頃、気になりません?」
新井素子
講談社文庫
1999年11月15日発行
定価648円+税








★愛する夫のレントゲン写真に怪しいカゲ、まさか肺ガン?おまけに肝機能障害まで発見されて、どうしたらいいの?ダイエットも含めた健康管理の簡単な工夫から、夫に家事をさせる上手な操縦術などなど、明るい家庭生活のヒケツが盛りだくさん。主婦兼人気作家の愛とユーモアに満ちあふれたエッセイ集。
<目次>
1章 素子流・健康管理を工夫する
2章 共稼ぎ家庭で夫に家事を教える法
3章 世間には不便なことや困ったことが一杯
4章 女性の気持ちは奥が深い
5章 いろいろ、あれこれ
卷末エッセイ「野菜畑のマダム・アリス」(氷室冴子)
通常、解説と呼ばれるものを4ページ分、氷室さんが担当。
同時期集英社文庫コバルトシリーズで活躍されたお二人。あたしも、氷室さんはもちろん新井素子さんが大好きなので、お二人の仲良しぶりがなんとなくうれしい。


2000年

「援交から革命へ 多面的解説集」
宮台真司
ワニブックス
2000年9月1日発行
定価1500円+税
B6ソフトカバー






★国家、郊外、自意識克服・タフネス獲得、性・風俗、サブカルチャー、社会学―小説やマンガ作品の巻末に収録された解説、あるいは映画のパンフレットに収録された解説を集め、解説を付した各作者のインタビュー、語りおろし企画「宮台真司スピークスミヤダイ」を併せて編集した宮台真司の90年代思考集成。
<目次>
第1章 国家論/第2章 郊外論/第3章 自意識克服・タフネス獲得系/第4章 性・風俗/第5章 サブカルチャー/第6章 宮台真司 スピークスミヤダイ
氷室さんは第5章サブカルチャーに登場。
「なぜ海が聞こえなくなったのか」(徳間文庫「海がきこえる」の解説『「海がきこえる」のロマンチシズム』の再録)に対する談話「爽快だった読後感」(氷室冴子)を掲載。作者の意図をちゃんとわかってくれてると感じた様子。

2007年

青春小説傑作選「14歳の本棚―部活学園編―」
北上次郎・編
新潮文庫
2007年3月1日発行
定価514円+税






★中学生時代、それは毎日がドキドキに満ちた人生で一度だけの時間。『14歳の本棚』全三巻は、「中学生小説」の傑作・名作を、誰もが認める読書界の目利きである編者が深い愛情をもって選んだアンソロジーです。最初は部活学園編。放課後の教室やグラウンドの片隅を舞台に、どの頁を開いても、時代を超えた少年少女のひたむきな姿があふれ、やがてあの頃のあなたを懐かしく呼びおこします。(内容紹介より)
評論家・北上次郎さん(つまりは「本の雑誌」の発行人を務めていた目黒孝二さん)が、「中学生が登場する小説だけを集めた叢書が出来ないものか」と長くあたためていた企画がついに実現。部活学園編、初恋友情編、家族兄弟編の三部作の初回刊行の本書は、角田光代、中沢けい、森鴎外、井上靖、氷室冴子、川西蘭、松村雄策、大岡昇平の作品を収録。氷室さんは「クララ白書」だ。長いので、もちろん抄録。利恵子お姉さまへの手紙である「序」から第1章の「ドーナツ騒動」の終わりまで。
底本は2001年刊行の集英社コバルト文庫「クララ白書機廖蔽川史子イラストの新装版)
解説では、久美沙織の『コバルト風雲録』からの一文を引いて氷室さんを紹介、「クララ白書」は「新しい時代の開幕を告げる少女小説」であると書かれている。さすが北上さんだ。

「作家24人の名作鑑賞 私を変えたこの1冊」
集英社文庫編集部・編
集英社文庫
2007年6月30日発行
定価457円+税






★作家の人って、どんな本を読んで作家になったのだろう。芥川龍之介は、宮沢賢治は、あの人の人生をどのように変えたのだろう。作家になった今、『ふしぎの国のアリス』を、『車輪の下』を、あの人はどんなふうに読むのだろう。作家24人が読者として真剣に名作に向き合った鑑賞集。 (内容紹介より)
集英社文庫では1990年から、古今東西の名作を集めた『ヤングスタンダード』シリーズを刊行。若い人のために注や解説以外に人気作家さんなどによる「鑑賞」(その作品に出会って心を動かされた体験を綴ったエッセイ)をつけたものが出版されてきた。この本は、そうした解説の中から24編を選んで編んだアンソロジー。北方謙三、夢枕獏、久世光彦、橋本治、小池真理子、阿刀田高、田辺聖子、立松和平、原田宗典、秋元康、ねじめ正一、三田誠広、大林宣彦、谷川俊太郎、清水義範、俵万智、柳美里、畑山博、氷室冴子、武田鉄矢、林望、群ようこ、中沢新一、大沢在昌のエッセイを収録。氷室さんは堀辰雄「風立ちぬ」を中学2年生のときに読んだ記憶について「生きようとする祈り」というタイトルで書かれている。これは1991年の項目で紹介した堀辰雄「風立ちぬ」(集英社文庫)の鑑賞と内容は同じだけど、様々な作家さんの「本の思い出」を知ることができる読み物として面白いので、紹介しておきます。


☆氷室冴子著作年表☆1978〜1990年こちらから。
☆氷室冴子作品著作☆1991〜2008年こちらから。

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